俺とアーサが…
双子の兄妹…
傍にいた蓉子さんを見ると
蓉子さんは目で頷いた。
「ホテルを出て街中を彷徨い続けていた。
どこをどう歩いたのか、
気付くとアタシは
あの恋人岬に来ていたの。
レオとの結婚を反対された日に来た…
同じ場所に来ていた。
その時のアタシには
何をどう考えればいいのか
解らなかったの。
ただ信じられない現実だけが
冬の海に漂っていた。
陽はすでに沈み真っ暗な海に
灯台の灯りだけがうろうろと彷徨っていた。
ジーンズのポケットの中では、
携帯がずっと鳴っていたよ。
覚えてる
きっとレオからの電話…
そうは分かってはいても
電話に出る勇気も気力さえも
残っていなかった。
何度もこの崖から一歩踏み出せば死ねる…
そう思うのに死ねない自分がいたの。

