「ごめん!……大丈夫?」
「アタシなら大丈夫…
アタシこそごめんなさい。
ちょっと急いでたから…」
と言ってアーサは少し顔を赤らめた。
彼女の辞書やテキストを拾おうとした時、
偶然彼女の手に俺の手が触れた。
「……」
アーサと目が合った時、
今まで感じたことのない
電気ショックが全身を駆け巡った。
あんなことは初めてだったんだよ。
アーサに会って俺は初めて
女性を好きになった。
一目惚れってやつだった。
それまで、俺が通っていた高校では
四天王と呼ばれ、俺達に言い寄って来る
女は多く、女に不自由することはなかった。
それでも、俺に言い寄って来る女は
どの女も真行司財閥というブランドだけが
目的だったり、見た目のいい
単なるアクセサリーという見方しか
してなかった。
だから……
本気で女を好きになったこともなければ、
気持ちを入れてキスをしたことも、
抱いたこともなかった。
女とはそういうものとしか思えなかった。
女に対しては冷めきっていた俺は、
アーサに出会って変わった。

