千年愛



「ん…別にいいよ。前…結婚しようとしてた子がいたんだけど…結婚式の前になっていきなりいなくなったんだ。」


「あっ…ごめんなさい。変なこと聞いちゃって。」


と…舞ちゃんは謝ってきた。舞ちゃんの顔を見ると口の横にはみたらしのタレをつけていた。それで神妙な顔をしているのが妙に可笑しくなって、クスっと笑ってしまった。



「何が可笑しいんですか〜」と今度は頬をふくらませる。



「だって…口の周り、タレだらけになってるよ」とハンカチで拭いてあげようとしているると舞ちゃんは「ん」と顔を俺の方に向け、「拭いて」と言わんばかりに顔を近づけてくる。



「ほら。」



ドキドキしながら拭いてあげると…またアーサのいつもの仕草をした。



「でも…その彼女って酷いよね。結婚式の前になって逃げるなんて」と言って今度は怒り出す。



「ん…でも余程のことだったんだろね。」


「レオさんは彼女のこと、怒ってないんですか?」


「うん。」


「嘘〜アタシなら許せないけどな〜」と自分のことのように怒っていた。



やっぱり…アーサじゃないのかな…。