まどろみ3秒前


「翠さんが起きたとき、俺がこの分全部教えますし。いけるいける。余裕でしょ」

「んと…」

「翠さんだって100点、とりたいでしょ?」


まるで先生みたいな口調で少しばかりムカつくが、確かにとりたいはとりたい。今まで中学の時でも100点というのはなかった。

5点なんて、今までとったことない点数をとってしまった。


別に、全部が全部、今まで低かったわけじゃない。前のテストは普通の平均点の点数だった。勉強したら、いけるのかもしれない。5点だったなら、挽回して100点とれば…


「…まあ、どうでもいいんで。じゃあやります」


「おー!!」と、なんだか彼は喜んでいた。








ここへ来るのは、2回目だった。私が助けてもらったのに、逃げ出したときだ。殺風景な部屋の印象は変わっていない。

なんだろう、なんだかオレンジのような果汁のいい匂いがする。いい匂いを出して集中力をあげる、アロマでもしてるんだろうか。


「―んで、この数は4になる。…翠さん?あれ、翠さん生きてる?死にました?」

「あ、ああ」


はっと閉じそうになっていた目を開ける。教科書や参考書、ノートを開いて、消しカスが広がり、出してくれた丸型の机上はぐちゃぐちゃになっている。