「翠さんが起きたとき、俺がこの分全部教えますし。いけるいける。余裕でしょ」
「んと…」
「翠さんだって100点、とりたいでしょ?」
まるで先生みたいな口調で少しばかりムカつくが、確かにとりたいはとりたい。今まで中学の時でも100点というのはなかった。
5点なんて、今までとったことない点数をとってしまった。
別に、全部が全部、今まで低かったわけじゃない。前のテストは普通の平均点の点数だった。勉強したら、いけるのかもしれない。5点だったなら、挽回して100点とれば…
「…まあ、どうでもいいんで。じゃあやります」
「おー!!」と、なんだか彼は喜んでいた。
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ここへ来るのは、2回目だった。私が助けてもらったのに、逃げ出したときだ。殺風景な部屋の印象は変わっていない。
なんだろう、なんだかオレンジのような果汁のいい匂いがする。いい匂いを出して集中力をあげる、アロマでもしてるんだろうか。
「―んで、この数は4になる。…翠さん?あれ、翠さん生きてる?死にました?」
「あ、ああ」
はっと閉じそうになっていた目を開ける。教科書や参考書、ノートを開いて、消しカスが広がり、出してくれた丸型の机上はぐちゃぐちゃになっている。


