「翠さん、部活でも入ってんの」
「いや、前にテスト出来てなかったんで、そのテストを居残りでしてたんです」
はは、と笑うと、「結果は?」と彼が言うと同時に、急に私のポケットからはみ出ていた回答用紙を取ってきた。
ペケばかりの赤い字が見えて、私も思わず紙を返してもらおうとてを伸ばすが、無駄だった。ひょいとかわされてしまう。
「あっ…ちょっ…」
「小学生?テスト用紙をこんなポケットに雑にしまって。ほんと笑える」
朝くん、怒ってる。察した私は何も言えなくなって、ただ彼が私の回答用紙を見るのを見ていることしか出来なかった。
「そんな点数今回のテストだけ、なんで。じゅ、授業聞いてなかっただけだし。聞いてないとしたら、結構いい方だと思―」
「やば」
真剣な表情で私の回答用紙を見つめていた。私は、それにはは…と苦笑いするしかできない。
「いや、5点はやばいって。赤点ですよ赤点。平均点よりも下でしょこれ」
そりゃあ、偏差値はひ75以上のしばし高校の人からしたらヤバいんだろうけど、そういう点数の人はいるし…別に…
「…」
「翠さん」
「…」
「翠さーん?」
何度も「翠さん」と呼ばれて無視をするというのを続けると、「あーあ」というため息混じりに声が聞こえた。


