「翠さん、俺の高校知ってる?翠さんの高校の結構近くにあるとこなんだけど、」
私がしばらくボーッと空を見上げる。そしてようやく頭に入り、「え!?」と声を出して彼を見た。
「え、なんか時差?」
「あの、もしかして、ひしばし高校の人なんですか?あの、偏差値ヤバいとこの…」
「あー、そうそう。俺はひしばしの者です」
まじか、と口を大きく開けてしまう。
ひしばし高校は、私の通う高校の近くにある。ここら辺一帯の地域で、最も賢いと言ってもいいほど毎年偏差値は75を越えている高校だった。
偏差値が高すぎて、本当にヤバいところだ。私には未知の世界すぎる、場所。
まさか、高校も行ってるのか行ってないかと思っていたのに彼が、まさかそんなひしばし高校なんて…
「見たことある制服だと思ったら…あー…」
「それで、高校から帰ってたら偶然後ろ姿見つけて。あ、ストーカーだけは違うんでお願いします。翠さんの高校知ってるのも、偶々近い高校だから制服知ってただけなんで」
「いや別に、わかってますけど」
私だって、近くの高校の制服は知っている。尚更ひしばし高校だ。
ああ…なんで忘れてたんだろう。


