まどろみ3秒前


まだ運動場や体育館では部活が行われていた。この時間帯では、回りには誰もおらず、校門を出るのは私ひとりだけだった。

スカートが、肌寒い風に吹かれる。今日の気温はとても寒い。太陽の暖かな光が差しているが、気温はとても低いようだ。


あの暴風雨だったときの高校とはまるで違う。暖かな優しい光が差し込んで、綺麗に高校が輝いていた。

高校生たちは、あの高校に人生をかけてもいいほど、毎日高校には来る。勉強、友達、部活、そして、青春やらと全てを懸けている。

すごいな、なんて、私もここの生徒なはずだが他人事で思った。この高校では不登校者が多くいる。先生もだが、来れているだけですごいと言っていた。



「あーあ、嫌い」


そう言っているおかしな自分がまた嫌いになり、自分に、微笑した。



「なーにが?」



その時、誰かの声が背後から聞こえた。この声というのは、私ではない。声が低くて、でも明るい口調の、聞き覚えのある声。


「えっ」

「おはよ、翠さん」


影が、できていた。ひとりだった黒い影の隣に並んだのは、背の高い、男の人。私は普通の身長なのに、容易に越されている。こんなに背が高いのかと驚いてしまった。