「「「さよーならあ」」」
何人かしか言わない、終礼のさよならを終えて、いつもなら流れにそって教室を出るが今日は出ない。
私は、自分の席について、一応テストだしと教科書を机に出して、開いて見ていた。
どこが出るのかもわからず、ペラペラと適当に開いていく。少しも頭に入りもしない。
「翠、今日もしかして残る?」
高く可愛らしい声に顔を上げると、小鳥が立っていた。私は咄嗟に笑みを浮かべて、「ごめーん!」と続ける。
「今日、ちょっとテストで」
「あーね。わかった」
小鳥は、納得したようにすぐに頷いた。そんな人が沢山いたのか、それとも私と元々帰りたくなかったか。
「じゃー頑張って」
教室を出るまで、小鳥は私に笑顔で手を振ってくれた。なんて、優しいんだろうななんて思う。本当に、どうして優しいのかな。
―ガラッ
「ごめん待った?いや、でも少しは勉強できたかな」
1枚の封筒を手に持ち入ってきた先生に、私はきちんと「いえ」と首を横に振った。これには先生も笑っていた。
「じゃあ、テスト始めるから」
先生の言葉に、薄く目を開けて頷いた。今日の放課後は、たったの2教科しかやらないらしい。
別に、勉強なんかしないのだから、夜遅くになってでもいいから全部、今日にしたかったな…なんて思いながら、カンニングもしないが教科書を直して、シャーペンを出した。
私は、配られたプリントを、回答用紙に書いていった。
゜
゜
゜
―ピピピ、ピピピ


