まどろみ3秒前


「「「さよーならあ」」」


何人かしか言わない、終礼のさよならを終えて、いつもなら流れにそって教室を出るが今日は出ない。

私は、自分の席について、一応テストだしと教科書を机に出して、開いて見ていた。

どこが出るのかもわからず、ペラペラと適当に開いていく。少しも頭に入りもしない。


「翠、今日もしかして残る?」


高く可愛らしい声に顔を上げると、小鳥が立っていた。私は咄嗟に笑みを浮かべて、「ごめーん!」と続ける。


「今日、ちょっとテストで」

「あーね。わかった」


小鳥は、納得したようにすぐに頷いた。そんな人が沢山いたのか、それとも私と元々帰りたくなかったか。


「じゃー頑張って」


教室を出るまで、小鳥は私に笑顔で手を振ってくれた。なんて、優しいんだろうななんて思う。本当に、どうして優しいのかな。




―ガラッ


「ごめん待った?いや、でも少しは勉強できたかな」


1枚の封筒を手に持ち入ってきた先生に、私はきちんと「いえ」と首を横に振った。これには先生も笑っていた。


「じゃあ、テスト始めるから」


先生の言葉に、薄く目を開けて頷いた。今日の放課後は、たったの2教科しかやらないらしい。

別に、勉強なんかしないのだから、夜遅くになってでもいいから全部、今日にしたかったな…なんて思いながら、カンニングもしないが教科書を直して、シャーペンを出した。

私は、配られたプリントを、回答用紙に書いていった。








―ピピピ、ピピピ