1時なった。一応、お母さんに『起きたー』というメッセージを送り、鍵を閉めて家を出た。鍵は、ロック付きの箱に入れる。番号は忘れたが、お母さんや弟たちは覚えているだろう。

空を見上げた。

電柱の線が邪魔で、青空全面を見ることは出来ない。でも、その電柱も青空も雲も全部含めて、綺麗な1枚の絵のようになっていた。

今日は、本当に晴れている。でも、僅かに雨の匂いがした。昨日も雨が降っていたのだろうか。


もし。もし、あの人に会えたら。

私はなんて言いたいんだろう。どんな笑みを浮かべて、どんな話をして、どんな風に接したらいい?

まあ、何でもいっか。だって、私はあの人のことなんか考える意味もない。何もないから。


2日。空は、雨が止んだだけで何も変わらない。









賑やかな教室。掃除時間だ。

段々と、後ろからこちらに近づいてくる足音がする。教室の板が古いのか、その人が重いからなのか、ドシンドシンなんて音がする。

ゆっくりと振り替えると、大きな体つきをした、数学科の先生、担任の先生だった。

メガネをかけ直して、何を考えているのかわからない目付きを私に向ける。