しっかりと自分の部屋の扉を閉めて部屋の電気を消す。部屋中は真っ暗になる。私は、お母さんが変えてくれた布団の中に潜り込む。

しばらく潜り込んでじっとしていたが、ようやく私はひょっこりと顔を出した。


「おやすみ」


いつも一緒に寝てくれるうさぎのぬいぐるみに告げる。おやすみ、という、世界でいちばん怖い言葉を。そして、大嫌いな言葉を。


カレンダーが目に入った。もうすぐ、3月にもなって、どんどん時が進んでいく。


「私だけ、追い付けてないね」


うさぎに言った。名前は、決めていない。昔に誕生日プレゼントにもらったのだ。…誰にだっけ。そうだ、お母さんから。


「やっぱり、死にたいなぁ」


色のない自分の目で部屋を見渡す。電灯が光る窓には、変な形の雨粒が沢山付いている。

クローバーが、目に入った。瓶に突き刺さった、1本の4つ葉だった。こんなに寒いのに、どうして枯れていないのか不思議なくらいだ。


「ひとりで、死にたいよ」


―一緒に崩壊したいと思っただけ。


一緒に死ぬとかそんな夢、叶えたくない。でも私ね、多分嬉しかったの。

感情はないと思っていたけど、少しだけ感情はあったみたい。嬉しかったから。

ああ。私は、起きる理由がほしかった。


あの人の夜は、幸せなんだろうか。


あんなに寝たくせして、とても眠たかった自分に腹が立つ。瞼が重い。

私は、ゆっくり目を瞑った。








おはよ、と誰かが私に言うあの夢を見ない。


私は死んで永眠かな、それとも…