まどろみ3秒前


「…はい。そのために、私は外に出て、それだけは、どうでもよくない気がして、とりあえず行かなきゃって思ったみたいですね…」


やばい、と思って咄嗟に上を向く。折角止まった涙が、また、出てくる。もしかしたら私は、彼の言う通り泣き虫かもしれない。


「あーあ、また泣いてんの」

「…いや別に」


すると突如、頭に何かが乗った感覚がした。

それは、私でもわかった。手だった。


「あー…くくってんの、いいな」


彼は少し、恥ずかしそうに顔を赤らめて、私の長いポニーテールを揺らして遊んでいる。

付き合ってもない男子に髪を触れられている。そんな、世間からすれば異常事態な状況に、私は抵抗もせずじっとして、考えていた。


いいって…、いいって、どういうこと?

これって…、普通のことなのか?


意味がわからなすぎて、急に怖くなってきたのか、体は、反射的に立ち上がって距離をとった。じっと、彼を睨み付けることにする。


「…あの、別にどうでもいいんですけど、誰に、言ってるんですかね、はは」

「そりゃあ翠にだけど」


突然の呼び捨てに心臓が口から出てきそうになった。「あ、間違えた、翠さんに」と訂正されたが、もう遅い。