「…はい。そのために、私は外に出て、それだけは、どうでもよくない気がして、とりあえず行かなきゃって思ったみたいですね…」
やばい、と思って咄嗟に上を向く。折角止まった涙が、また、出てくる。もしかしたら私は、彼の言う通り泣き虫かもしれない。
「あーあ、また泣いてんの」
「…いや別に」
すると突如、頭に何かが乗った感覚がした。
それは、私でもわかった。手だった。
「あー…くくってんの、いいな」
彼は少し、恥ずかしそうに顔を赤らめて、私の長いポニーテールを揺らして遊んでいる。
付き合ってもない男子に髪を触れられている。そんな、世間からすれば異常事態な状況に、私は抵抗もせずじっとして、考えていた。
いいって…、いいって、どういうこと?
これって…、普通のことなのか?
意味がわからなすぎて、急に怖くなってきたのか、体は、反射的に立ち上がって距離をとった。じっと、彼を睨み付けることにする。
「…あの、別にどうでもいいんですけど、誰に、言ってるんですかね、はは」
「そりゃあ翠にだけど」
突然の呼び捨てに心臓が口から出てきそうになった。「あ、間違えた、翠さんに」と訂正されたが、もう遅い。


