そういえば、何故、彼はここら辺を歩いていたのか。こんな暴風雨の中で。口を開こうとすると、彼が先に口を開いた。
「翠さんのことをストーカーしてたからとかじゃなくて。休日だけど、学校の周りうろついてたら、会えるかなって思ってて」
「…誰に、会えるかなって思ってたの?」
朝くんが会いたくなる人とは誰のことかと問うと、彼はまた吹き出した。
「決まってんじゃん」
笑って、朝くんは私を見た。まるで、朝陽のような笑顔だ。あのクールな真顔からは想像が出来ない。
「待ってたから」
―待ってるから、ずっと。
そう、言ってくれたのだ。そうだった。彼は、私を待っていてくれた。
「翠さんも、俺を探して、会いに来てくれたんでしょ?まあ、会いに来たのは俺だけど」
彼はふっと鼻で笑う。私も笑った。


