「いつからそんな」
「……覚えてない、けど、小学生かな。小学生のときに、自分でしか起きれなくなって。誰も、私を起こせなくなった」
重力に従ってポタポタと下に落ちる雨水を目で追う。
「それで段々酷くなってきて、最近は日を跨ぐようになっちゃったんです。前は3日。今回は、4日で…体は、何も問題なくて」
ああ、自分で言ったのは初めてだ。こんなにも、相手がどう思っているのか怖いんだ。
「誰も、私を起こせないの…」
それで、いつの間にか皆に噂が広まって、ただの寝坊女として笑われるようになって。
「俺が、起こしたけど」
「…へ?」
「俺が助けて部屋に運んだとき。前、数時間で起きたのは、あれなんだった?」
「違うんです。あれは、気絶だったから。眠ってたわけじゃ、なかったから…」
ぼやける視界の中、涙を拭って前を向く。
いけない、笑わないと。笑って軽いように言わないと。下がっていた口角を必死に上げて、私は無理矢理、笑顔を浮かべる。
「はは。まー別に、いいんですけどね。たったの4日。別に何の変化もない、し、ただの症状なんで。…あ…」
体はどうして、こんなにも正直なんだろう。保っていた笑みは崩れ、涙が止まらなく溢れでてしまった。止めようとしても、もう手遅れで。
ああ、バカみたい。軽いことだし、泣くほど重大なことじゃない。たったの4日。
なのに、なのに…


