どこへ、行けばいいんだろう。自分はどこへ行きたいんだろう。誰に、会いたいんだろう。
赤い傘は、暴風雨によって今にも破れそうだった。強い風、強く降り落ちる雨。傘に落ち、跳ね返る雨粒の音を聞きながら、私はただ歩いた。
足が疲れても、頭が痛くなっても、服が濡れても、傘が逆さになっても直して、また、歩いた。
やがて、私は、足を止めた。
行く場もなく、待ってくれてる人もいない。私は何のために歩くんだろう。下を向いて、やけくそに、また1歩、踏み出してみる。
久しぶりに歩いたからか、足首が痛い。頭も痛くなってきた。どうしよう。病院まで帰れるか?スマホも持たずに来てしまった。
ああ、起きたのに、溺れてるみたい。足掻いても足掻いても、息苦しくて沈んでいって。
いずれ、長く眠ったら、私は忘れられるんだろうな。この世界から、消えてなくなる。
でも、今、誰かを求めて歩いている。
その誰かに、教えてほしかったな。
―その時、私ではない靴の音がした。
こんな暴風雨の中に、歩く靴の音が?
そんな靴音は、雨の音と共に、止まった。
「…えっ」
靴音の持ち主は、何故か、道のど真ん中で足を止めている。黒い傘を手にさしていた。
雨のせいで辺りは薄暗く、その上黒い傘で顔がよく見えない。だが、制服を着ていることは目で見てわかった。学校からの帰り道か。
もうそんな時間なのか、もう夜が来るのか。下を向きながら通りすぎようと足を早める。


