まどろみ3秒前


「あっ、こんなところに」


私を探していたのか、医者は、ほっとしたような表情をした。私が「死んだと思いました?」なんて冗談ぽく言うと、若い医者は静かに、私の隣に座り込んだ。


「…検査でわかったことがあって、僕は言いたくないんだけど、言っても、いいかな」

「次に眠ったら、もっと、眠るんですよね」


驚いたように目を開けた医者は、そのまま、こくりと頷いた。「ですよね~」と私は、バカみたいに笑う。


「…あ、そうだ。お母さんに電話するね」


椅子から立とうとした医者の白衣の袖を、私は思い切り掴んだ。


「えっ?」

「私が起きたことは、誰にも言わなくていいんで」

「いや、それはいけない。君は、3ヶ月も眠っていたんだよ?お母さんは君を心配してたんだよ?報告しなくちゃ、」


掴んだ袖を離さない。どんなに首を振られても、それだけは、揺るがない思いだった。


「お願い、します…」


怖い。苦しい、辛い。家族に会ったら、きっともっと苦しくなる。何も考えないようにして、今日は1日を過ごしたい。

誰にも会わずに、私は、長く眠りたい…


「天塔さん」

「…怖いんです。私のことなんか、忘れられてるかもしれないから。会ったら色々考えちゃって、辛いし苦しいから」