「あっ、こんなところに」
私を探していたのか、医者は、ほっとしたような表情をした。私が「死んだと思いました?」なんて冗談ぽく言うと、若い医者は静かに、私の隣に座り込んだ。
「…検査でわかったことがあって、僕は言いたくないんだけど、言っても、いいかな」
「次に眠ったら、もっと、眠るんですよね」
驚いたように目を開けた医者は、そのまま、こくりと頷いた。「ですよね~」と私は、バカみたいに笑う。
「…あ、そうだ。お母さんに電話するね」
椅子から立とうとした医者の白衣の袖を、私は思い切り掴んだ。
「えっ?」
「私が起きたことは、誰にも言わなくていいんで」
「いや、それはいけない。君は、3ヶ月も眠っていたんだよ?お母さんは君を心配してたんだよ?報告しなくちゃ、」
掴んだ袖を離さない。どんなに首を振られても、それだけは、揺るがない思いだった。
「お願い、します…」
怖い。苦しい、辛い。家族に会ったら、きっともっと苦しくなる。何も考えないようにして、今日は1日を過ごしたい。
誰にも会わずに、私は、長く眠りたい…
「天塔さん」
「…怖いんです。私のことなんか、忘れられてるかもしれないから。会ったら色々考えちゃって、辛いし苦しいから」


