まどろみ3秒前


皮肉な口調にならないように、私は「なにそれ」と軽く笑った。


「私には、その運命の人とは出会えないって言いたいんですか?酷いですね」


医者は、「別にそういうわけじゃ」と首を横に振る。そういうことでしょう?と内心、どこかイライラしていたのかもしれない。


「いや、僕のは奇跡の例だ。他にも、そんな奇跡はいらない治療法があるはずだから」

「あるんですか?私が眠ってた間に、治療法はできたんですか」


3ヶ月も経ったのだ。治療法が出来ていてもおかしくはない。そう思ったが、医者の苦笑いを見て、肩を落とした。


「患者が少なすぎて…薬や治療法を見つけても、天塔さんに実験させるわけにもいかない。だから、今のところは…、申し訳ない」


いえ、と首を振った。今の患者は私だけらしい。確かに、患者が少ないのかもしれない。

不意に、窓を見やる。

すると、「あっそうだ」と何かを思い出したような声が聞こえた。


「その四つ葉のクローバー、枯れちゃったんだ。花瓶も変えないで、ごめんね。うちの看護師も僕も、なんだか、変えられなくて」


どうして変えられなかったんだろう。よくわからないが、聞こうとは思わなかった。