しばらく息を整えた医者と目が合う。何故かそらしてしまった私に、医者は「えっとね、」とどこか早口で続ける。
「体の検査は後でするから、とりあえず、今は状況整理をしようか」
「っげほっぅげほげほ…」
止まったはずの咳がまた出てくる。ああ、苦しい、息が、苦しい。話したいこと、聞きたいことが山ほどあるのに…
「大丈夫、無理して話さなくていい。これ、メモ帳に書いてくれる?」
医者は、小さなメモ帳をちぎってペンと共に私にくれた。ベッドに付いた机に、私は文字をゆっくりと書き始める。
自分でも、読めないほどに手が震えている。それでも、医者は読み取って答えてくれた。
「えーっと、単刀直入に言うね。カレンダーを見たらわかると思うんだけど、今は7月の下旬になる。君は、3ヶ月の間、眠りに落ちていた」
3ヶ月。その言葉が、重く私にのし掛かる。聞かなければよかった、と早速後悔した。
「体内時計が狂いに狂いまくって、体温調節機能やらも狂って、今、君の体はすごくしんどいと思う。記憶障害もあるはずだ」
私は、こくんと頷いた。記憶、障害…
私は、今この瞬間にも、忘れているものがあるのか、。


