まどろみ3秒前


―目を開けると、見慣れない、真っ白な天井が広がっていた。天井には、火災報知器が付いていた。ただ、その輪郭を目でなぞる。


今日も、私は自分で起きた。

ゆっくりと、体を起き上がらせる。


ベッドが半分を占める、個室だ。ドラマとかで見たことがある。ここは、病室のようだ。

窓際には、何か花のような草のような、植物が埃を舞って花瓶に生けてある。まだ、花瓶の水は残っていた。枯れてしまいシワシワで、原型がよくわからなくなっていた。

なんだか暑い。でも、体はどこか冷え寒い。そんな感覚だった。

埃の匂いもする。はるか昔に嗅いだような、あの春の匂いのようなものが、しなかった。


どこか、嫌な予感が私を襲う。

病室には、点滴も包帯もない。

ただ、眠ってただけ?どうして私はここに?


その時、頭に強い衝撃が走った。何かに頭を殴られたような、強い強い痛み。


「っ…」


思わず頭を下にして抱え込む。

周りを見渡すが、誰もいない。誰も、私を殴ってない。ただの頭痛…?


ここはどこ?今は、いつ?

この植物は、なんなの…?


―ガラッ


扉が開く音がした。

それと同時に、何かがバサッと落ちる音。


「あ、あま…あま…天塔さん…」


女の人の声だ。

頭が痛い。顔を上げられない。


「ぅげほっげほっ」


息ができない。咳が、止まらない。どこか涙が出てくる。まるで、溺れてたみたいに。


「○○番号室、天塔さんが目を覚ましました!!!!」