―目を開けると、見慣れない、真っ白な天井が広がっていた。天井には、火災報知器が付いていた。ただ、その輪郭を目でなぞる。
今日も、私は自分で起きた。
ゆっくりと、体を起き上がらせる。
ベッドが半分を占める、個室だ。ドラマとかで見たことがある。ここは、病室のようだ。
窓際には、何か花のような草のような、植物が埃を舞って花瓶に生けてある。まだ、花瓶の水は残っていた。枯れてしまいシワシワで、原型がよくわからなくなっていた。
なんだか暑い。でも、体はどこか冷え寒い。そんな感覚だった。
埃の匂いもする。はるか昔に嗅いだような、あの春の匂いのようなものが、しなかった。
どこか、嫌な予感が私を襲う。
病室には、点滴も包帯もない。
ただ、眠ってただけ?どうして私はここに?
その時、頭に強い衝撃が走った。何かに頭を殴られたような、強い強い痛み。
「っ…」
思わず頭を下にして抱え込む。
周りを見渡すが、誰もいない。誰も、私を殴ってない。ただの頭痛…?
ここはどこ?今は、いつ?
この植物は、なんなの…?
―ガラッ
扉が開く音がした。
それと同時に、何かがバサッと落ちる音。
「あ、あま…あま…天塔さん…」
女の人の声だ。
頭が痛い。顔を上げられない。
「ぅげほっげほっ」
息ができない。咳が、止まらない。どこか涙が出てくる。まるで、溺れてたみたいに。
「○○番号室、天塔さんが目を覚ましました!!!!」
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