「その今にも崩壊しそうな目。それで笑い取り繕う翠さん。……今は、また違う目だけど、俺は、今の翠さんの方が、好き」

「そっか……」

「大丈夫。世界がどんなに変わっても、俺は、どうせずっと変わらないで待ってる」


どうして、この人は、いつだって私の欲しい言葉をくれるんだろう。


「翠さんがいないと、生きていけない。精神が安定しなくなる。俺も苦しいの」

「どうして…?言い過ぎでしょ…」

「翠さんは、俺の心臓の一部だから」


どうして、そこまで言うんだろう。涙が止まらなく出てくる。優しくて、安心する。


「絶対に大丈夫になるおまじない、かけとく」


人差し指を上に指しくるくる回して、私に指先を「はっー!」と向ける。無表情で睨み付ける私に、朝くんは、優しく笑っていた。










眠れない朝くんは、朝が嫌いだった。

眠りすぎる寝坊女の私は、夜が嫌いだった。


朝くんの病気は、重度の不眠症というわけではなく、未だ原因不明の病気らしい。私と、同じだった。

だけど、私の真逆の病気。

本当に、おとぎ話みたいだなぁ。