不意に、写真アプリを開いた。
「あっ」
そこには、桜と、映りの悪い私と…
「朝くん…」
そうだった、思い出した。
また、朝くんのことを忘れていたらしい。写真を見て、思い出せるようにしていたのだ。
この写真がなかったら、思い出せず1日を過ごしていたかもしれない。、危なかった。
リビングへ行くと、少し大人びたように見える弟がいた。髪色は変わらず茶色だ。ソファに腰を下ろしている。
「あ、姉ちゃん。おはよう」
「ん、おはよー」
何ともないように、累は私に言って、またスマホに視線を戻す。
「お母さんは?」
「買い物行ってる」
「…累さ、中学卒業したっけ」
冷蔵庫を開けながら、私も何ともないように言うと、累は一瞬、驚いたような表情をしたように見えた。が、すぐに表情を戻した。
「したよ。今はまだ高校生じゃなくて春休みだけどね」
「へぇー高校1年生か」
「姉ちゃんと、同じ学校」
「え、ええ!?そうなの!?すごいじゃん」
今更だけど受験おめでとう、の拍手を送ると、累は、なになにと怪訝な顔をしながら笑っていた。