「なんか今日、変なんだけど」
「え?いやいや」
笑いで誤魔化したが、そんなのは朝くんには無効果だった。というか、もっと怪しまれている。
「どしたの」
「…大丈夫、何にもないから」
「は?なに、なんで俺に隠そうとしてんの」
隠そうとしているわけじゃない。私は、ただ、朝くんから話してくれるまで、待つんだ。だから、そんな風に言わないで…
「…まあ、いいか。言いたくなかったら言わなくていいんだけど」
「…そう、なの?」
朝くんが思ったよりもすぐにひいたことに、意外で少し驚いた。
「家族にも、どんなに仲のいい親友や友達にだって。言いたくないとか、言葉にできない思いはあるもんでしょ?翠さんにも」
「……やっぱり、言います」
「お、作戦成功」
「なっ…」
こんなのされたら、前言撤回なんて言えなくなる。本当に、朝くんには叶わない。
「あのさ、前に―」
その時、だった。
「え、あれ天塔さんじゃね?」
―後方から、聞いたことのある声が聞こえた。クラスの男子だ。いや、元クラスの。
気にせずに、話を続けようとしたが、どうしてだろう。手が、震える。口が、まるで鉛のように重く動かない。


