まどろみ3秒前


「なんか今日、変なんだけど」

「え?いやいや」


笑いで誤魔化したが、そんなのは朝くんには無効果だった。というか、もっと怪しまれている。


「どしたの」

「…大丈夫、何にもないから」

「は?なに、なんで俺に隠そうとしてんの」


隠そうとしているわけじゃない。私は、ただ、朝くんから話してくれるまで、待つんだ。だから、そんな風に言わないで…


「…まあ、いいか。言いたくなかったら言わなくていいんだけど」

「…そう、なの?」


朝くんが思ったよりもすぐにひいたことに、意外で少し驚いた。


「家族にも、どんなに仲のいい親友や友達にだって。言いたくないとか、言葉にできない思いはあるもんでしょ?翠さんにも」

「……やっぱり、言います」

「お、作戦成功」

「なっ…」


こんなのされたら、前言撤回なんて言えなくなる。本当に、朝くんには叶わない。


「あのさ、前に―」


その時、だった。


「え、あれ天塔さんじゃね?」


―後方から、聞いたことのある声が聞こえた。クラスの男子だ。いや、元クラスの。

気にせずに、話を続けようとしたが、どうしてだろう。手が、震える。口が、まるで鉛のように重く動かない。