「翠さん寝てばっかだから、最近」
なんかニートみたいに言うな、なんて思いながら隣に並ぶ朝くんの話を相槌を打って聞く。
水を飲もうとペットボトルのフタを開いたが、歩きながら飲めなくて鞄に直した。
「あとまあ、春が来ちゃったから」
来ちゃった、という言い方はあまり使っているところを見ない。春が、私達に来たみたいに言う。でもまあ、そうなのかもしれない。
「色々、話したかったし」
ふふ、と優しく笑う朝くんに、私はただ、口を紡ぐ。話したいことや聞いてみたいことが沢山あるのは、きっと、私の方だ。
でも、私は待つ。そう決めた。
東花の怪我の正体、…わからないが、病気のことも。全部、話してくれるまで待つ。
残された余命がある病気だったらどうしよう、精神的な病気だったらどうしよう。ネガティブなことばかり考えてしまう。
わからない。東花は何も言わなかった本当に朝くんに何らかの病気があるのか知らない。
でも、考えてしまうのだ。私は弱虫だから。
夜が怖い。朝くんは、そう言ってた…
「翠さん?」
「あ、はい」
私から心を開かなければならない。待つことは嫌いだけど、待つんだ。


