「なに、嫉妬?可愛いな」
「ごめんなさい違います嫉妬というか普通に気になったんです女子に興味あるのかって」
「女子?翠さんも女子に入るでしょ?」
「…は、入るけど。なんか、まだ別に私と朝くん付き合ってもないしあんなに可愛いくもないし私は朝くんに相応しくもないし…」
「だから何回も言わせんなって」
周りの目なんて、朝くんは気にしてないみたいだ。
「ちょ…あさくん…?」
人がいるというのに、私に顔を、近付かせる。少し顔をひいて体を後ろにずらしたが、それでも、ぐっと顔を近付かせてきた。
一瞬、反対側の席から悲鳴のような女子の声が聞こえる。
「俺は翠さんが、好きだよ」
「…はい」
「他の女子に負けないくらい、翠さんは可愛い。それに、相応しいとか相応しくないとかどうでもいいし、……え、てか俺、手繋いだり抱き締めたり有り得ないことしてんのに、もしかして今、やっと愛されてる自覚沸いた?」
「え、あ、いや、無自覚、なのかと」
そんなわけないし、と笑いながら顔を元の位置に戻した。
「普通の人にしないそんなの」
「…は、はい」
頷いた瞬間、反対側の女子高校生とばっちり目が合った。完全に、カップルだと思われてそうだな、なんて何気に目をそらした。


