まどろみ3秒前


いや、とりあえず今は恥ずかしい。この話がまた廊下にまで漏れてないかと心配になる。


「翠」

「うん?」


東花は、シャッターの取っ手を握ったまま、振り返って言った。



「起きてくれてよかった」



小鳥にも言われた言葉。今の私は、この言葉がいちばん欲しい言葉だった。


「何度も言うけど、俺は、翠のことが好きだった。それだけ」

「…ありがと」


東花の言ってくれた好き、という言葉は、どこか震えている。

好きとか言うの慣れてないんだろうな、なんて思うとどこか可愛いらしくて笑ってしまった。


「あ、朝には内緒で」


人差し指を立てて、薄く微笑む東花はとても綺麗だった。そのままシャッターを開けて、東花は保健室から出た。

保健室の扉が閉まる音が聞こえるまで、私はじっと、耳を澄ませていた。








「ごめんお待たせ!!…あれ東花くんは?」


回りをキョロキョロと見渡す小鳥。シャッターは開かれ、保健室には光が満ちていた。


「な、なんか帰った」

「えーそうなんだ」


少し残念そうに肩を落とす小鳥に、私は正直に思っていることを聞いてみた。