まどろみ3秒前


すぐに謝ろうとすると、その前に、今度は東花が「そう」と縦に頷いた。


「…俺、やきもち焼いて嫉妬してた」


東花は優しく鼻で笑った。その笑顔は、どこか朝くんの笑顔を思い出させた。


「バカみたい。あいつが翠に近付いたからって俺、翠に…、勝手に嫉妬、した。なんであいつで、なんで俺じゃないのかって」

「と、東花、顔、赤…」

「あ?黙れ見んな?」


いつものツンツンしている東花に戻ったようで、思わず口元が緩んでしまった。


「俺は、毎日をどうでもよさそうに生きてるけれど、遅れてでもちゃーんと学校に来る、不思議な、お姫様が大好きだったよ」

「…お、おひめさまて」


思わずポカンと口を開ける。そんな私を見て、また東花は小さく笑っていた。


「ほら、あの…誰だっけ、小鳥?にも言われただろ。ちゃんと体倒して休めろよ」


耳を赤くした東花は、パイプ椅子から立ち上がった。


「行く、の?」

「伝えたいこと、伝えれてよかった」

「…行っちゃうか、そっか、うん、ばいばい」

「なに落ち込んでんの?翠の人は、あのクズだろ」


東花に笑われてしまった。

違うし、とも、そうです、とも言えない。言葉にできない、なんとも不思議な感情だった。なんなのだろう、この感情は。