「これ、見て」
私に、東花は自分の手の甲を見せてきた。
痛そう、と思わず呟いた。赤く腫れ、痛々しい切り傷が入っている。それも、1つではない。いくつもの傷がつけられている。
「誰につけられたと思う」
「…え、誰って」
「あいつだよ」
東花は手を引っ込ませて制服の袖で隠した。
「…いやいや。そんなわけない」
「そんなわけあるから言ってる。だから、俺は翠を心配してたの。あいつに関わんな知ろうとすんなって」
「…でも、そんな人じゃ」
もごもごと口が勝手に動く。
朝くんと見た、いくつもの風景が頭に蘇る。
夜も越し、一緒に朝陽だって見たけれど、私はあの人のことを何も知らないでいた。
―俺が傷つけたのに
朝くんは、寂しげに笑って言っていた。きっと、後悔しているのだ、朝くんだって。
「…なんであいつなの?その病気を打ち明けたのも、お前が笑って喋ってんのも…、なんであんな奴に…、まだ俺の方がマシだし…」
吐き捨てられる言葉。東花が今にも泣いてしまいそうで、思わず体を起こした。


