「廊下で、全部聞こえてた」
「…聞こえてた?聞いてた、じゃなくて?」
「…うん。いや、聞こえて、聞いてた」
そう、とだけ私は呟いた。廊下にまで聞こえていたのは、考えてなかった私が悪い。
「…まじ悪かった。ほんと、ごめん」
「噂とかでも聞いてただろうし、別にどうでもいい。聞いちゃったんなら、いい」
「…翠は、その眠る病気で、今まで人よりも多い時間を眠っててしまう病気だった。で、日を跨ぐようになっちゃったってこと、か」
「うん、そう。…体内時計が狂ったらしくて。1週間も長く眠ったらしんどくなって。で、まあ無理して倒れちゃったってわけ」
私が苦笑いすると、「1週間、か」と自分に呟くように言って、東花はため息を吐いた。
「やっぱ、お前も病気だった、か」
「…も、ってなに?」
私が倒れる前にも、もを付け加えて言ってきていた。
東花は、はっと何かに気付いたように目を開けて、懸命な様子で首を横に振った。
「間違えた。何でもない」
「…朝、くん?え、病気?」
そう言った瞬間、東花の目の瞳が少し潤むように見えた。東花はまた、頑固に黙って首を振る。吐息と共に、東花の口が開いた。


