運悪く窓側ではなく、廊下側だった。
不登校の人に囲まれて、私の席の回りは誰もいない。でも、それでよかったと安堵した。
掃除や班活動ではひとりでやらなければならないことが多いだろうが、別にいい。
「はい皆静かに」
ザワザワし始めた教室を、先生が注意をする。黒板上には、体育祭や合唱の賞が貼ってあった。私には、全部、関係ないこと。
ロングからショートに髪を切った女子、いつの間にか転校したらしい人、進んでいく授業、クラスメイトが映った写真。
後ろから見る教室というのは、本当に気が重いことばかりで吐き気がする。
これだから私は、感情を押し殺して生きてきたのに。どうでもいいって、自分に言い聞かせてきたのに。
朝くんと見たあの朝陽が、世界でいちばん、綺麗と思う。
降り止まない雨に、朝陽が昇ってた。
バカみたいに、綺麗すぎたんだよ。
徹夜した私の脳内は、ずっと、朝くんとの会話や、あの朝陽の記憶が離れないでいた。
色んなことを考えるが、結局は、考えてることもあの朝陽で全部、どうでもよくなる。
「翠」
私の名前を呼ぶ…誰だろう…?机に顔を突っ伏して耳を澄ませる。
「あ?無視すんな寝てんの?」
ガバッと顔を起こすと、ムッと安定の不機嫌顔をする東花がいた。朝くんのことを思い出して、改めて東花を見る。


