いつの間にか雨は止み、雨上がりの空は青く綺麗に晴れていた。雲ひとつない青空が広がり、窓から差す朝陽が温かかった。
「7日間と、次の日の夕方まで眠っていたと」
若い医者は、呆然とそう言った。検査を受けたが、何も体に異常はなかった。
「体内時計が狂いに狂いまくって、多分、体にだるさがあったりすると思うんだけど」
「…あーはい、確かに」
曖昧に頷いた。言う通り、体のだるさや頭痛がある。測ったが熱はなかったから、その体内時計のせい、なんだろう。
「すごく眠そうだね。大丈夫?」
「…あーはい、まあ、徹夜しちゃって」
「え、そんなことしたら…」
小さく吐息を吐いた若い医者は、髪をかきあげて「あのね、」と優しい口調で続ける。
「まだこの病気はわからないことだらけなんだよ。そんなことしたら、もっと、長く眠ってしまうかもしれない。どうなるかもわからないから、徹夜なんて、やめときなさい」
急に怒られたらしく、冷や水を浴びせられた気分になった。
「もうすぐ4月だね。学校は?」
医者は場を和まそうと考えているのか、唐突にそんなことを言い出した。「知りません」とぶっきらぼうに言い返した。