まどろみ3秒前


「ほんとは、翠さんと、朝陽が昇るのを見たかった。だから、ここに連れてきた」


あさひ…?ポカンと口を開ける。

案の定、雨の音がする。さっきよりも雨の音は強まっているように感じた。


「…こんな雨じゃ朝陽なんて見れないでしょ」


軽く言おうと、私は笑みを浮かべた。冗談だと思っていたのに、彼は本気のようだった。


「見れる」

「見れない」

「いや、見れるから」

「見れない」

「見れるっつってんの」

「見れないです」


一向に意見を曲げない私は、ため息混じりに笑われてしまった。


「なにその頑固なとこ。めんどくさいな」

「だって、どうせ見れないから…」


嘘うそ、なんて他人事に言いながら、彼は私の髪をくしゃくしゃに掻き回してきた。

睨み付けると、「嫌?」と、ズルいくらいに無表情で言ってくる。そんなに真顔で見られると、「嫌じゃない」としか言えなくなる。