久しぶりに、あの夢を見た。
初めて、自分の声でその誰かに話せた。誰かはわからない。記憶になくて思い出せない。
―あれ、ここはどこだろう。
私の視界いっぱいに、青空が広がっていた。白い雲が呑気に浮かんでいる。そして、視界の端には桜が咲き誇った大きな木があった。
綺麗だなぁ。手を伸ばそうとしたけど、何かで後ろに縛られてるみたいに、手が伸ばせない。
そして、急に視界は変わった。
バシャッ!!と大きな音と共に背中が叩きつかれた振動があった。恐る恐ると目を開ると、私は水の中にいた。
水の中で視界がぼやけている。
体が、沈んでいく。
手を伸ばして足を動かして、足掻いても足掻いても、体は沈んでいくだけだった。
酸素がなく、息ができない。苦しい、辛い、怖い。沈んでいく、沈んでいく…
どこまでも深い海のように、私はどこまでも沈んでいく。苦しいのに、私は死ねないでいた。それが、1番苦しかった。
「っぅぐ…たすけて…」
バカみたいだ。深い水の中なんか、誰もいないくせに、そんなことを私は言う。本当に情けなすぎて、私は自分に笑っていた。
いつも通り。ずっと、これからも沈んで溺れていくんだろうな、たったひとりで。
「溺れようか」
「…っえ…」
水の中に、私ともう1人の誰かがいた。
その誰かも、一緒に沈んでいき溺れていた。
「…助けて…苦しいよ…」
私はその誰かに言った。
「一緒に、溺れよっか」
誰かは、ヒーローみたいに助けてくれない。
その誰かは、一緒に溺れると言った。
その誰かは、また、優しく微笑んだ。
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