まどろみ3秒前


スマホから彼の声が聞こえることが、なんだか新鮮だった。耳に囁かれているみたいで、どこか照れくさい。


「…朝くんの声ってなんか落ち着くし好き」


深夜で頭が回らなくなったのか、ポロリと呟いてしまったことを後悔した。彼の「え?」という声が聞こえた。


「ご、ごめんなさいごめんなさいまじで…気持ち悪かった今の…ごめんなさい…」

『めっちゃキュンてしたんだけど。なに、それで俺の声聞きたくなったわけ?』

「あ、いやそゆわけじゃなく…」

『嘘うそ。ふふ、やっぱかわい。猫みたい』


ね、ねこ?

あまり彼の思っているはわからないが、私はとりあえず可愛いと誉められているらしい。


「…今、この瞬間に朝くんも起きてるって考えたら、すごく、なんだろ、安心する気がする」

『…まあ、確かに翠さんが今起きてるとか考えたら笑っちゃうわ』

「な、なんで笑うんすか」


変な敬語で慣れないツッコミをしてしまい、また彼に笑われた。


『じゃー羊数えよか』

「…え、羊?羊なんかどこに」


私が戸惑っている間に、彼は落ち着いた口調で「羊が1匹、羊が2匹」と数えだした。


「ま、待っ…なんで」

『寝れないんでしょ?翠さんが好きな俺の声で数えてあげる』

「は、はぁ…?寝れるわけないし…」


羊なんて数えて眠れるわけがないのに。増してや朝くんと電話中に寝るとかありえないし…