スマホから彼の声が聞こえることが、なんだか新鮮だった。耳に囁かれているみたいで、どこか照れくさい。
「…朝くんの声ってなんか落ち着くし好き」
深夜で頭が回らなくなったのか、ポロリと呟いてしまったことを後悔した。彼の「え?」という声が聞こえた。
「ご、ごめんなさいごめんなさいまじで…気持ち悪かった今の…ごめんなさい…」
『めっちゃキュンてしたんだけど。なに、それで俺の声聞きたくなったわけ?』
「あ、いやそゆわけじゃなく…」
『嘘うそ。ふふ、やっぱかわい。猫みたい』
ね、ねこ?
あまり彼の思っているはわからないが、私はとりあえず可愛いと誉められているらしい。
「…今、この瞬間に朝くんも起きてるって考えたら、すごく、なんだろ、安心する気がする」
『…まあ、確かに翠さんが今起きてるとか考えたら笑っちゃうわ』
「な、なんで笑うんすか」
変な敬語で慣れないツッコミをしてしまい、また彼に笑われた。
『じゃー羊数えよか』
「…え、羊?羊なんかどこに」
私が戸惑っている間に、彼は落ち着いた口調で「羊が1匹、羊が2匹」と数えだした。
「ま、待っ…なんで」
『寝れないんでしょ?翠さんが好きな俺の声で数えてあげる』
「は、はぁ…?寝れるわけないし…」
羊なんて数えて眠れるわけがないのに。増してや朝くんと電話中に寝るとかありえないし…


