私は黙って口を紡ぐことしかできなかった。
―どうして、あなたは夜が嫌いなの…?
知りたい。やっぱり私はあなたを知りたい。
でも私は、知れるほどの分際で知れるほどの関係なのだろうか。友達でもない、恋人でもない、クラスメイトでもない。
私にはわからない。知らない方がいいのか、知った方がいいのか。
「…朝くん、」
私は、笑みを浮かべて言った。
「おやすみ、また明日」
その言葉があるだけで、今は十分だった。
朝くんは、しばらく私をじっと見つめてから優しく微笑んで言った。
「翠さん、おやすみ」
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―なんなんだろう。
息はしているのに、とても息苦しく感じた。胸に手を当てると、ドクドク、と心臓の音が大きく強く鳴っていた。
「怖い……」
家に着き、ご飯やお風呂、歯磨きを素早く済ませて、夜、私はぬいぐるみをぎゅっと抱いて、布団にくるまっていた。
「苦しい……」
まるで、溺れているみたいだった。
体が酸素を追い求めている。足掻いても足掻いても、体が沈んでいくみたい。
ちゃんと意識して、息を吸って吐いてを繰り返しているのにとても息苦しかった。体全身が、小刻みに震えている。
熱は35度台で、低いほどだった。私には、これは何日も眠りに落ちる、と知らせる体のアラームのようなものに感じた。


