「一応自覚ありでやってるんでね俺だって。あーあ、翠さんに言われちゃったんだけど」
最悪、と苦笑する彼に、私は「最悪って酷い」と言って笑っておいた。彼もさすがにそこら辺の自覚はあるみたいで、少し驚いた。
「まじで後悔はしてないけどね?俺は、翠さんと本気で死ぬつもりだったんだけど」
死ぬ、なんていうワードが出てくれば少し空気が重くなるのを感じた。
笑みを浮かべていたが、あまり上手に笑えなくなっていく。彼の茶色い目には、あい変わらず私の姿が映っていた。
「でも、もう夢は変わった」
「…っえ?」
隣に歩いていた彼は急に足を止めた。周りを見ると、気づけばもう交差点だった。信号は赤だが、車は通らず静かだった。
「今は、翠さんと一緒に生きること」
嘘じゃない。本当に、心の底から嬉しい、という感情があった。生きるなんていうワードが、朝くんの口から出るなんて…
「翠さんが生きるなら、俺も生きるから」
「…私がまた、死にたくなったら?」
「その時は、もちろん一緒に死ぬけど」
いたずらっぽく笑う彼は、死ぬのも本当に何も怖くなさそうだった。本当に、朝くんは変な人で、とても不思議な人だった。


