まどろみ3秒前


「あなたも、私の病気っていうか症状のこと知ってるですよね?」


私の声の先は、どこか震えていた。この際、もういい。自分からこの事を言うのは初めてだった。


「早く、死なせて下さい」


ああ、頭が痛い、くらくらする、寒い。だが、それ以上に心が冷めきって震えていた。刃物で刺されたみたいに苦しくて痛かった。


「ふうん?」


彼は、いたずらっぽく笑った。無表情だとクールで大人っぽいな印象を与えるが、笑うと、子供のような優しい印象を受ける。


「なんであんま学校来なくなったのかって聞こうとしてたけど…、病気なんだ?だから余命でもあるから死のうとしてるってこと?」


意味がわからず戸惑う間もなく、「俺ねー、」と続けられる。


「翠さんのこと、なんにも知らないんですよね。勝手に解釈されちゃったけど」


どう答えたらいいかわからず、無言になってしまう。傘に跳ねる雨の音が強まる。彼は、私に傘を傾けるから雨に濡れていた。