「あなたも、私の病気っていうか症状のこと知ってるですよね?」
私の声の先は、どこか震えていた。この際、もういい。自分からこの事を言うのは初めてだった。
「早く、死なせて下さい」
ああ、頭が痛い、くらくらする、寒い。だが、それ以上に心が冷めきって震えていた。刃物で刺されたみたいに苦しくて痛かった。
「ふうん?」
彼は、いたずらっぽく笑った。無表情だとクールで大人っぽいな印象を与えるが、笑うと、子供のような優しい印象を受ける。
「なんであんま学校来なくなったのかって聞こうとしてたけど…、病気なんだ?だから余命でもあるから死のうとしてるってこと?」
意味がわからず戸惑う間もなく、「俺ねー、」と続けられる。
「翠さんのこと、なんにも知らないんですよね。勝手に解釈されちゃったけど」
どう答えたらいいかわからず、無言になってしまう。傘に跳ねる雨の音が強まる。彼は、私に傘を傾けるから雨に濡れていた。


