「…あ、そうそう。途中で翠さん見つけて話しかけようと思ったら誰かと帰ってたから。話したかったからってちょっと後ろ付いていってストーカー行為してた。ごめんなさい」
彼は、丁寧に頭を下げて謝る。帰ってるときに私って、変なこと恥ずかしいことしてなかったかなんて心配になりながら「いやいや」と首を振った。
「あれ、翠さんの友達?」
「…うん。そう、だね」
どうしてか、ハッキリと友達とは言えなかった。そのことが、少し胸苦しい。他人に興味なしの朝くんが聞いてくるのは少し意外だ。
「名前は?」
「…小鳥」
「ことり?え、翠さん鳥と友達なの?友達いないからってさすがに人間と鳥は―」
「は、いや違う!!小鳥って人!人間です失礼な!」
「ぷ、はは。なにそれ」
わかっててボケて言っていたらしい。本気になってしまった自分が心底恥ずかしい。
「翠さんのツッコミいただきました」なんて言って笑う。私も、また口元が緩んだ。
―叶わない。朝くんには、叶わないな…
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