まどろみ3秒前


「100点は、ちょっと無理かもだけど、」

「は?100点とらなきゃ意味ないんだけど」


急に冷や水を浴びせられた気分になった。意味ない、意味ない、のか…


「嘘だって。100点じゃなくて全然いいよ。やったことに、意味はあるから」


優しい口調に泣きそうになる。彼は本当に、私のほしい言葉をいつだってくれる人。


「…あり、がと」

「…うん?」

「朝くんがいなきゃ、私は…生きてすらなかったかもしんないし。別に死んでもよかったんだけど。…でも、やっぱり、だめだった」

「…」

「生きててよかった。今、そう思えた」

「…ふうん」

「だから、ありがとう。…もしかしたら、朝くんと出会えてよかった、かもしれないし」


誰かさんように優しく笑ってみる。少し間が空いて、朝くんの顔を覗いてみる。


「…えっ?」


思わず、呟いてしまった。

いつ?気付かなかった。いつから…


「朝くん、泣いてる…」

「…は?泣いてないけど」

「いや、泣いてるけど」


私から何歩か離れて、彼は目の下を拭った。泣いてるって、目から涙が出ること。そう、私は間違ってない。朝くんは、泣いている。