「100点は、ちょっと無理かもだけど、」
「は?100点とらなきゃ意味ないんだけど」
急に冷や水を浴びせられた気分になった。意味ない、意味ない、のか…
「嘘だって。100点じゃなくて全然いいよ。やったことに、意味はあるから」
優しい口調に泣きそうになる。彼は本当に、私のほしい言葉をいつだってくれる人。
「…あり、がと」
「…うん?」
「朝くんがいなきゃ、私は…生きてすらなかったかもしんないし。別に死んでもよかったんだけど。…でも、やっぱり、だめだった」
「…」
「生きててよかった。今、そう思えた」
「…ふうん」
「だから、ありがとう。…もしかしたら、朝くんと出会えてよかった、かもしれないし」
誰かさんように優しく笑ってみる。少し間が空いて、朝くんの顔を覗いてみる。
「…えっ?」
思わず、呟いてしまった。
いつ?気付かなかった。いつから…
「朝くん、泣いてる…」
「…は?泣いてないけど」
「いや、泣いてるけど」
私から何歩か離れて、彼は目の下を拭った。泣いてるって、目から涙が出ること。そう、私は間違ってない。朝くんは、泣いている。


