「え、あー東花」
今日は寝坊でもしたのか、髪が羽上がり寝癖ができていた。それを治してやろうと手を伸ばす。が、虫でも見るかのような目で私から離れた。
「な、なに?」
「いや寝癖、治そうと思って」
「…水でもつけなきゃ治らないだろ」
ふと気付けば、私に話しかける東花のことを、4人くらいの男子たちが後ろで笑いながら見守っていた。
察した私は、早く話を終わらせようとする。
「テストどうだった?」
今までずっと話しかけてこなかったくせに、どうして最近は話しかけてくるのだろう。
後ろに男子が見守ってるってことは、罰ゲーム?罰ゲームでもやらされてる?そうなのか?ああ、本当に鬱陶しい。
「…無視?」
「え、違う違う!ごめんごめん!」
「あ?何でも2回言うのやめてくんない?」
「はは…ごめんごめん。あ、また言っちゃった」
耳によくない、と耳を塞いだ東花と、はは、と笑う私の空気は、ガヤガヤとした教室の空気とここだけ空気が明らか違った。
「どうだった?」
「…んー、東花は?」
言いたくもなかった。テストの状況を始めに言うのは、朝くんがいい。


