リビングへ行くと、お母さんが朝ごはんを用意してくれていた。


「おっはよー!よく眠れた??」

「あーうん!めっちゃ寝れたー」


お母さんの浮かべた笑みも、少し見せる心配の表情も、憎く見えてきてしまった。そんな自分が、また大嫌い。


準備をして、学校へ行った。


普通に授業を受けた。予習として、朝くんが教えてくれたところが出たので、とても先生の話が頭に入りやすくなっていた。


ペンを顎に付けながら、私は窓の先の空を見上げた。優しく青で、真っ白な雲が浮かぶ。


「見て、なんか黄昏て空見てるー」

「そんなの言っちゃだめでしょ!」

「えーだってぇ」

「最近学校寝坊せず来れてるよねぇー。あ、あれじゃない?好きな人でもできたとか」

「わぁー!好きな人のためなら寝坊もしないんだ?笑える。きも」


別に気になったわけでもないが、視線を窓からそらした。好きな人のためなら?どれだけ意味のわからないことを言ったら気が済むのか。


否定しに行っても無駄だということを、私には一番よくわかっている。

どうせ話のネタにして、笑いたいだけ。日常に面白いことがないんだろう、可哀想。


でも、今日の私はそうは思えなかった。怖くて辛くて、胸が痛くて、下を向いていた。