5000分の1の奇蹟


ガラガラガラ
「羽菜ちゃんおはよう」
羽菜「おはよう」
手術当日の朝看護師さんが起こしに来た。
生まれた時から入退院を繰り返しているため、看護師さんたちとは仲が良い。
私にとってお姉ちゃんみたいな存在。
起こしに来てくれた看護師さんは春ちゃん。担当じゃない日も必ず1回は顔を見に来てくれる。
私も信頼していて悩み事とかも聞いてもらっている。

 春「羽菜ちゃん8時までしか水分取れないからね。あと15分しかないよ」
羽菜「(´Д`)眠い。もうそんな時間?」
 春「そうだよ。先生ももう少しで来るよ。」
羽菜「了解。ありがとう」
 春「じゃあまた来るね。」

春ちゃんが出て行ったあと、大急ぎで歯を磨き髪の毛を整えた。
8時まで残り5分。
羽菜「よかった。よし最後のお茶を飲もう」
「羽菜ちゃんおはよう」
そこに来たのは主治医の飯田先生と次に主治医になる不愛想な福原先生だった。
羽菜「おはようございます。」
飯田「体調は大丈夫?」
羽菜「はい。大丈夫です。」
飯田「じゃあ後で点滴とろうか」
羽菜「はーい」
そう言って出て行った。相変わらず後ろのほうで突っ立って挨拶もしない福原先生。
普通挨拶ぐらいするでしょって思っていると8じを迎えていた。
羽菜「あーあ時間じゃん」
つぶやきながらお茶をしまった。
特にすることもなく携帯をいじっていると愛菜からメールが来ていた。

愛菜「おはよう!今日は手術頑張ってね。ちなみに今日は久しぶりに航と一緒に登校だよ。」
と航わたるとの2ショット付のメッセージが来ていた。
羽菜「おはよう!手術行くときメール送るね。朝からラブラブじゃん。よかったね!」
愛菜「明日は羽菜に会えるし私も学校頑張るね。」
羽菜「私も楽しみにしてるね」
こうして会話は終わった。
それから1時間後看護師さんが来た。
 春「羽菜ちゃん点滴とるよって先生が呼んでる」
羽菜「了解。今日は何回刺されるんだろう笑」
 春「羽菜ちゃん血管細いもんね。長く使うからなるべく太い血管が良いもんね」
そんな会話をしながら処置室に向かった。

羽菜「お願いします」
飯田「とりあえず左手から見ようか。」
と先生が左の袖をまくり血管を探し始めた。
飯田「よし!ここ行こうか。チクッとするよ」
羽菜「痛っ。ふぅぅ」
飯田「頑張って」
そういいながら針で血管を探す。毎回だけどこれが痛い。

飯田「ごめん。やり直し」
羽菜「はーい」
1発で終わるとは思ってなかったからやり直しでも何も思わない。
それから点滴がとれたのは10分後。今回は3回目でやっと取れた。
いつもよりは時間がかからなかった。

羽菜「ありがとうございました。」
飯田「時間までゆっくりしててね」
 春「あとでお部屋行くね」
羽菜「はーい」
そして部屋に戻った。
部屋にはお母さんが来てた。

 母「おはよう」
羽菜「おはよう。来てたんだね。」
 母「うん。いないから点滴だろうって思った。」
羽菜「今回は3回目で入った」
 母「よかった」
それからお母さんと他愛のない会話をして過ごした。