そんなことぐらい自分で考えろ!と言われそうだが、私はついつい、大好きな人に甘えて聞いてしまった。

「うーん…それは萌ちゃんが本当に行きたいところへ行くべきだよ」

賢さんからは、想定通りの答えが返ってきた。

「だけど…」

「だけど?」

「萌ちゃんが上京したら、淋しくなるなぁ」

少し淋しげに微笑んだ、あまりに罪深い人。

その言葉が、私の心をまた縛りつける。

実に情けない話だが、彼のこの一言で、私は上京せず、神岡から富山の大学まで通うことに即決。

正直、まさか自分がこんなに恋愛体質だとは思っていなかった…。