翌朝、1月9日午前8時51分。

私、花染 結乃(はなぞめ ゆの)は同じクラスで同じ部活の友達、希音(のん)と一緒に始業式が行われる体育館に向かっている。

「結乃ほんとに大宰府の大会出るの?」

「出たくないけど断る理由もないし出るしかないじゃん?」

「まあそうかもだけど…でも14日でしょ?その青白い顔で言われても心配なんだけど」

「どーせ1試合目で負けるだろうから大丈夫。てか私そんなに青白い?」

「うん大分。さっき山瀬(やませ)も結乃のこと心配してなんかあったんかって聞いて来たんよ?結乃が山瀬のことビビり散らかしてるせいで私があんた達の仲介人みたいになってるんだからね」

担任の山瀬は背が高くて声も低くて威圧感を覚えるため、私は山瀬と必要以上に関わらないようにしている。

だけど顔は整っていてなんだかんだ授業も面白いため比較的人気はあるらしい。

「何て答えたの?」

「特に何も聞いてないから何か聞いたら後で言う的な」

「えー。何でよ。何も言わなくていいよ。」

「私言ったよね?山瀬に頼まれてるの、結乃に何かあったら報告するようにって」

「いやでも別に何もないから」

「だから青白いんだって顔が。で?どっかしんどいとこはないの?吐き気とか頭痛とか」

あーどっちもあるしなんなら足元も覚束ない。

「特には」

「はー?絶対嘘じゃん」