「退院の日いつになりそ?」
数日たった今でも、蒼來は毎日部活終わりに来てくれている。
「まだその話はされてないからわかんない」
「大会が明後日なんだ、」
蒼來は悲しそうに、申し訳なさそうにそう言った。
「そっか。もう大会か、」
「早いな〜、俺が事故にあったときは来週だったのにもう1週間経っちゃったの?!」
「うん、拓翔。僕が拓翔の思い背負って今のチームメイトと最後の大会出るって言うの許して欲しい。今日の部活で拓翔の話になって顧問も拓翔の思いをみんなで背負ってなんとしてでも勝つぞ!って言ってて」
「もうそれは気にしてない。出れない俺の事を思ってそう言ってくれてるってわかったし。今はそう言ってくれるの嬉しいよ!許すも何も蒼來たちに俺の思いも託すしかないだろ?」
「拓翔、ありがとう。僕たち絶対勝ってくるから」
「うん!応援してる」
その後まだ申し訳なさそうな表情の蒼來は何も言わなくて少し沈黙が続いたが、
「退院、間に合ったら見に行っていい?」
俺がそう言うと笑顔で
「もちろん!絶対来てね!」
そう言った。
やっぱり蒼來も最後の大会俺と出たかったんだろうな。部長である俺が居ない今は蒼來がチームをまとめてくれているし色んな意味でプレッシャーがすごいんだと思う。
「蒼來、気楽にいつも通りプレイしろよ」
俺にはそう声をかけることしか出来なかったが蒼來は
「うん!ありがとう!頑張る!!」
と、さっきまでの強ばった表情からいつもの優しい顔に戻っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大会当日
俺は自分も出る予定だった大会を見に来ていた。
昨日担当医に
「いつ退院出来ますか?今日退院出来たりしませんか?もう元気です!ほらピンピンしてます!!」
そう言ったら
「今日の検査で何も問題なければ今日退院の予定だよ」
と言ってくれた。俺は大会を見に行けるかもしれないという嬉しさでいっぱいになった
(どうか、何も問題ありませんように)
数時間後
検査結果がでた。
「何も問題なかったよ!だから退院OK!!」
「やったー!大会見に行ける!」
思わずそう言ってしまった。先生は
「明日大会か!出れないのは残念だけど全力で応援しな!」
と言ってくれた。そして今に至る
大会会場に着くとちょうど俺たちのチームの試合が始まるところだった。
「お母さん早く!試合始まっちゃう!!」
そうお母さんに言って俺は走って観戦席まで行った。
ピピーッ!
お願いしまぁす!!
試合開始の笛の音
みんなの声
俺たちの最後の大会が始まった。
第1セット
23-25
1セット目は負けてしまった
けど接戦だから2セット目勝ってフルセットまで行く可能性もある
「頑張れ〜!」
俺は第2セットも全力で応援した
2セット目の中盤
俺たちのチームは相手に10点以上差をつけられ雰囲気も悪かった
(何暗くなってんだ、まだ逆転できる。諦めんな、)
「おい!お前ら!何テンション下がってんだよ!勝つんだろ!」
気づけば俺は席から立ち上がってそう叫んでいた
みんな俺が見に来ていると気づいていなかったのかびっくりしていた
ただ1人を除いて
「ごめん!ほら切り替えていくよ!負けたら拓翔にぼこされるぞ〜w」
蒼來は俺がいることに最初から気づいていてなんとしてでも勝たなきゃってちょっと力んでた。だからいつも通りのプレーが出来ずにいたけどあの様子なら大丈夫そうだな
「そうだぞ!勝たなかったら許さない!w」
俺はぶっちゃけ勝ち負けなんてどうでもいいと思ってる。
達成できなかった目標を託してくれた先輩には申し訳ないけど、
なんてそんなことを考えていると
「お!ちょっと厳しいか〜?」
聞き覚えのある声が後ろからした
「せ、先輩!」
「あれ?拓翔は出ないの?てか、なんでベンチとかじゃなくてここに居んの?」
俺が事故にあって腕が無くなったことを知らない先輩が聞いてきた
「えっと、事故にあってしまって左腕が、」
「え、ごめん。なんか」
「いいんですよ、俺も最初はこの事実を受け入れられなくて蒼來と喧嘩になっちゃったりしたけど今は蒼來たちに俺の思いを託して戦ってもらってますから!」
「そうか、」
「あと、ごめんなさい」
「なにが?余計な事聞いちゃったのはこっちだろ?」
「いえ、その事じゃなくて。先輩が託してくれた目標達成できずに俺らも終わっちゃいそうで、俺も大会出れないで終わっちゃったし」
「あー別に気にしてないよ!あれは拓翔たちのやる気を向上させるために託した目標だから」
「そうだったんですか?」
「今こうしてお前らの代が頑張って戦ってるのを見たくて言っただけ、だから別に達成出来なくとも俺は何も言わない」
「俺も目標達成出来そうにないけど蒼來たちが俺の分まで頑張ってくれてるの見てなんかそれだけで満足っていうか」
「だろ?俺もお前らの試合見れてよかった」
「さぁ!最後まで応援しようぜ!」
「はい!」
俺たちは最後まで全力で応援したが結果は25-27
負けだ
でも、いい試合を見れて満足だった
泣きながらごめん勝てなくてと謝ってくる蒼來やチームメイトを見て
「俺こそ一緒に戦えなくてごめんな。でも、最高の試合だった!お疲れ様」
笑顔でそう言いたかったけど俺もつられて涙が出てきてしまった。
最後まで蒼來達とこのチームメイトと切磋琢磨しあって戦い抜きたかった
これが俺の本音だが、何より蒼來たちが俺の思いをみんなで背負って戦ってくれたことが今はいちばん嬉しかった
拓翔の過去 𝐹𝑖𝑛.
数日たった今でも、蒼來は毎日部活終わりに来てくれている。
「まだその話はされてないからわかんない」
「大会が明後日なんだ、」
蒼來は悲しそうに、申し訳なさそうにそう言った。
「そっか。もう大会か、」
「早いな〜、俺が事故にあったときは来週だったのにもう1週間経っちゃったの?!」
「うん、拓翔。僕が拓翔の思い背負って今のチームメイトと最後の大会出るって言うの許して欲しい。今日の部活で拓翔の話になって顧問も拓翔の思いをみんなで背負ってなんとしてでも勝つぞ!って言ってて」
「もうそれは気にしてない。出れない俺の事を思ってそう言ってくれてるってわかったし。今はそう言ってくれるの嬉しいよ!許すも何も蒼來たちに俺の思いも託すしかないだろ?」
「拓翔、ありがとう。僕たち絶対勝ってくるから」
「うん!応援してる」
その後まだ申し訳なさそうな表情の蒼來は何も言わなくて少し沈黙が続いたが、
「退院、間に合ったら見に行っていい?」
俺がそう言うと笑顔で
「もちろん!絶対来てね!」
そう言った。
やっぱり蒼來も最後の大会俺と出たかったんだろうな。部長である俺が居ない今は蒼來がチームをまとめてくれているし色んな意味でプレッシャーがすごいんだと思う。
「蒼來、気楽にいつも通りプレイしろよ」
俺にはそう声をかけることしか出来なかったが蒼來は
「うん!ありがとう!頑張る!!」
と、さっきまでの強ばった表情からいつもの優しい顔に戻っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
大会当日
俺は自分も出る予定だった大会を見に来ていた。
昨日担当医に
「いつ退院出来ますか?今日退院出来たりしませんか?もう元気です!ほらピンピンしてます!!」
そう言ったら
「今日の検査で何も問題なければ今日退院の予定だよ」
と言ってくれた。俺は大会を見に行けるかもしれないという嬉しさでいっぱいになった
(どうか、何も問題ありませんように)
数時間後
検査結果がでた。
「何も問題なかったよ!だから退院OK!!」
「やったー!大会見に行ける!」
思わずそう言ってしまった。先生は
「明日大会か!出れないのは残念だけど全力で応援しな!」
と言ってくれた。そして今に至る
大会会場に着くとちょうど俺たちのチームの試合が始まるところだった。
「お母さん早く!試合始まっちゃう!!」
そうお母さんに言って俺は走って観戦席まで行った。
ピピーッ!
お願いしまぁす!!
試合開始の笛の音
みんなの声
俺たちの最後の大会が始まった。
第1セット
23-25
1セット目は負けてしまった
けど接戦だから2セット目勝ってフルセットまで行く可能性もある
「頑張れ〜!」
俺は第2セットも全力で応援した
2セット目の中盤
俺たちのチームは相手に10点以上差をつけられ雰囲気も悪かった
(何暗くなってんだ、まだ逆転できる。諦めんな、)
「おい!お前ら!何テンション下がってんだよ!勝つんだろ!」
気づけば俺は席から立ち上がってそう叫んでいた
みんな俺が見に来ていると気づいていなかったのかびっくりしていた
ただ1人を除いて
「ごめん!ほら切り替えていくよ!負けたら拓翔にぼこされるぞ〜w」
蒼來は俺がいることに最初から気づいていてなんとしてでも勝たなきゃってちょっと力んでた。だからいつも通りのプレーが出来ずにいたけどあの様子なら大丈夫そうだな
「そうだぞ!勝たなかったら許さない!w」
俺はぶっちゃけ勝ち負けなんてどうでもいいと思ってる。
達成できなかった目標を託してくれた先輩には申し訳ないけど、
なんてそんなことを考えていると
「お!ちょっと厳しいか〜?」
聞き覚えのある声が後ろからした
「せ、先輩!」
「あれ?拓翔は出ないの?てか、なんでベンチとかじゃなくてここに居んの?」
俺が事故にあって腕が無くなったことを知らない先輩が聞いてきた
「えっと、事故にあってしまって左腕が、」
「え、ごめん。なんか」
「いいんですよ、俺も最初はこの事実を受け入れられなくて蒼來と喧嘩になっちゃったりしたけど今は蒼來たちに俺の思いを託して戦ってもらってますから!」
「そうか、」
「あと、ごめんなさい」
「なにが?余計な事聞いちゃったのはこっちだろ?」
「いえ、その事じゃなくて。先輩が託してくれた目標達成できずに俺らも終わっちゃいそうで、俺も大会出れないで終わっちゃったし」
「あー別に気にしてないよ!あれは拓翔たちのやる気を向上させるために託した目標だから」
「そうだったんですか?」
「今こうしてお前らの代が頑張って戦ってるのを見たくて言っただけ、だから別に達成出来なくとも俺は何も言わない」
「俺も目標達成出来そうにないけど蒼來たちが俺の分まで頑張ってくれてるの見てなんかそれだけで満足っていうか」
「だろ?俺もお前らの試合見れてよかった」
「さぁ!最後まで応援しようぜ!」
「はい!」
俺たちは最後まで全力で応援したが結果は25-27
負けだ
でも、いい試合を見れて満足だった
泣きながらごめん勝てなくてと謝ってくる蒼來やチームメイトを見て
「俺こそ一緒に戦えなくてごめんな。でも、最高の試合だった!お疲れ様」
笑顔でそう言いたかったけど俺もつられて涙が出てきてしまった。
最後まで蒼來達とこのチームメイトと切磋琢磨しあって戦い抜きたかった
これが俺の本音だが、何より蒼來たちが俺の思いをみんなで背負って戦ってくれたことが今はいちばん嬉しかった
拓翔の過去 𝐹𝑖𝑛.