「嫌だ、俺からこれ以上目標を奪わないでよ!楽しいことを奪わないでよ!」

俺は突然突きつけられたその現実を受け入れることが出来なくてパニックになってしまった。

「これが最後のチャンスだったのに!なんで神様は最後までちゃんとやらせてくれないんだよ!」
「サッカーだってもっと続けたかった、バレーだって次の大会で勝って目標達成したかった、」

「拓翔、僕拓翔の分まで次の試合で頑張るからだからそんなに、」

「俺の分まで頑張る?蒼來はリベロだろ?俺みたいに相手のブロック打ち抜いて1点取れるようなポジションじゃないじゃん」
「蒼來が必死に繋いでもそれを絶対決めてくれる人がいなきゃ意味ないだろ。お前一人じゃ勝てないよ」

「っ、」

蒼來は何も言い返してこなかった。

それもそのはず、事故にあう前2人でした約束
あの時蒼來は「拓翔が打ち切ってくれるって信じてる。」って言ったんだ。

あの目標を俺たちに託した先輩だって「2人なら余裕だろ?」ってそう言ってた。
つまり、俺たちはどっちかが欠けたら意味ないんだよ。それを蒼來もわかってたんだと思う。

蒼來はその後気まづくなったのかその日は帰ってしまった。

「拓翔、あんなに強く言わなくても蒼來くんは拓翔のことを思って言ってくれたのよ」

そう言ったのはお母さんだった。

(そういえばお母さんもいたんだっけ?
完全にお母さんの存在忘れて蒼來と言い合ってたな、)

「わかってるよ。俺だってあんなこと言いたいんじゃなかった、」
「ただ、俺も一緒に最後の大会勝ちたかったんだよ。」

そう言うとお母さんは悲しそうな目で俺を見つめていた。


翌日

蒼來はまた病院に来てくれた。
正直俺はもう来てくれないものだと思っていたから驚いた。

「拓翔、昨日は無責任なこと言ってごめん。あの後拓翔のお母さんから、拓翔も一緒に最後の大会に出て先輩と交したあの約束を果たしたかったから蒼來くんが1人でも勝つよって言ったのが悲しくてあんな冷たい態度取っちゃっただけなの。拓翔の本心はあんなことじゃないって言われて僕も分かってたはずなのに、」

「「ごめん!」」

「え?」

蒼來が謝ろうとしたのがわかった瞬間俺も悪いことしたなと改めて思い俺も気づいたら「ごめん」そう言葉が出ていた。
自分が謝ったのと同時に俺から「ごめん」という言葉が聞こえて蒼來は困惑した様子だった。

それが少し面白くて俺は吹き出してしまった

「え?ってなんだよw」

「いや、僕が謝ったはずなのに拓翔からも聞こえたから悪いこと言ったのは僕なのに」

「蒼來だけが悪いんじゃないだろ?俺だって蒼來に酷いこと言った。だから謝った。それだけ!」

「だからって同時に言わないでよ!びっくりして変な声出たじゃん!」

「ごめんw」

昨日言い合いをしたのが嘘かのようにその後俺らは仲良く話をした。