こうして正式にバレーボール部に入部した俺たち。

入部してすぐにレギュラーになることは難しいって言われてたのに俺たちは入部して3ヶ月くらいでレギュラー入りした。

蒼來は最初のほうアップだけで息が上がってしまうほど体力がなかったのに今ではフルセットで試合に出れるほど体力をつけた。
レシーブがすごく上手くてリベロとして試合に出てる。

実は、蒼來の方が先にレギュラーに入ってて俺は少し焦ってた時期があった。

蒼來はこの前の新人戦から出たけど怪我をして出れなくなった先輩の代わりにリベロとしてユニフォームを渡されただけで、本当なら俺と同じで夏季大会からレギュラー入りする予定だった。

それでも先にレギュラー入りした蒼來が羨ましくて、嫉妬したり、置いてかれた気がして焦ってたりした。
けどプレイ面ではそんなこと分からないくらいいつも通りやってたつもりだし誰も気づいてないと思う。

実際俺は予定通り夏季大会からちゃんとレギュラー入りしたし、前と変わらず蒼來とも仲良くバレーボールを楽しんでる。

(ちなみに俺は次期エーススパイカーとして試合に出てるよ!)

1年生が終わるまでに横断幕に書かれていたベスト8の目標は達成出来なかったけど、あの時俺たちをこの部活に誘ってくれた部長さんと

「俺が達成できなかったこの目標、お前たちに託す。ふたりが居れば、ベスト8なんて余裕だろ?達成してみせてよ」

「はい、必ず達成させますよ。だから大会見に来てくださいね」

そう約束した。

けど、2年生のうちにもベスト8の目標は達成出来ずにいた。
先輩との約束を果たすべく、最後の1年

3年生になった今、なんとしてでも大会に勝たなければいけなかった。

「蒼來、。蒼來が諦めずに拾ったボールを俺が必ず打ち切るから。だから」

「当たり前よ!僕は拓翔が打ち切ってくれると信じてる。ボールを拾うことを諦めようなんて思ったことは1度もないよ。」

「蒼來。最後まで諦めないで頑張ろうな」

「うん」

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ベスト8の目標を達成するための最後の1年が始まってこれからだっていう時に…。

俺は目標を達成するためにどうしたらいいか考え事をしながら帰っていた夏の夜。

キキィー!バコン!

歩道に猛スピードで突っ込んできた車に轢かれた。

「きゃー!男の子が、」
「誰か救急車を、」

事故を目撃した人の叫び声が聞こえる。

俺、死ぬのかな、。

その後の記憶が無い。
多分気を失ってたんだと思う。

目を覚ますと俺は病院にいた。

「拓翔!わかるか?」

そう声をかけてくれたのは蒼來だった。

「蒼來、俺…」
「っ、俺の左腕は?!」

俺の体にはたくさんの包帯が巻かれて左足が固定されていた。
そして、左腕は切断されなくなっていた。

状況を理解しきれず戸惑っていると病院の先生と話していたのであろうお母さんが戻ってきた。

「拓翔起きたのね、」

「お母さん、俺の左腕は?」

「拓翔、落ち着いて聞いてね。車に轢かれた時拓翔は左半身を潰されて左足はなんとか骨折だけですんだみたいだけど、腕は切断しないといけない状況だったの」

そうお母さんが教えてくれた。

「そんな、」

かなりショックを受けた。

まだ先輩に託された目標達成出来てない、
蒼來と約束もしたのに
俺はもうバレーボール出来ないの?