貶されるって思ってた。進学コースの人はプライドが高くて、気が強い人が多い。正直、苦手で近寄るのが怖かった。

樋口くんは少なくても、そんな雰囲気がなくて、むしろ私のいい所を見つけてくれた。こんなに優しい人もいるんだ。


「ありがとう。自信なかったから嬉しい」


あんなに落ち込んでいたのが嘘みたいに晴れていく。


「自信もって。水瀬さんならできるよ」


不意に頭を撫でられて胸が跳ねるように高鳴った。くしゃくしゃになった前髪を直すことに気を取られず、胸の鼓動ばかりを気にしてしまう。


夕陽に照らされた樋口くんは細い口元を柔らかく口角を上げて、微笑んでいる。頬杖付いているのがなんだか愛らしく見えて。


その瞬間、私の瞳には樋口くんしか映らなくなった。