【短】夕陽の記憶

恥ずかしいところ見られちゃったな。食いしん坊って思われたらどうしよう。でも、疲労には勝てないし。


「甘いの好きなんだね」

「はは、変なところ見せちゃってごめんね。私いつも華ちゃんとスイーツ巡りとかしてるからつい癖で…」

「そうなんだ。ふふ、ここを選んで良かった。実はここを教えてくれたのは俺の姉で。女子と行くって言ったら絶対ここ!って」

「樋口くん、お姉さんいるんだ」

「うるさい姉だけどね。水瀬さんは兄弟いるの?」

「ううん、私は一人っ子だよ。欲を言えば、お姉ちゃんは欲しかったかな?樋口くんが羨ましいよ」

「姉なんて良いもんじゃないよ?こき使われるし。買い物に付き合わされるし。弟をなんだと思ってるんだか」


口ではそう言っているが、このカフェのことを聞いて私を連れてきてくれた樋口くんはとても姉思いで優しい弟なんだろうと思った。


しばらくすると注文したフォンダンショコラがきた。フォークで半分に割ると中からチョコレートが溢れてきて、食欲をそそる甘い香りが広がる。


とろけるチョコを器用に口に運んで生地の柔らかい食感とほろ苦いチョコを楽しむ。


「美味しい〜!」


あまりの美味しさに満面の笑みがこぼれる。


「喜んでもらえて嬉しいよ。あ、チョコついてるよ」