「少なくても俺はそう思うよ。実はさっきから見てたんだ。真面目に勉強している水瀬さんを」


「真面目になんて。他のこと考えていて全然集中出来てなかったし。その結果がテストに出ちゃったくらい」


進学コースの樋口くんにはありえない話だろうな。点数なんて天と地の差があるだろうし。


「それってこの前の期末テストのことか?もし良かったら、見せてくれないか?」


「えっ!?そんないいです。樋口くんみたいに進学コースの人に見られるなんて恥ずかしいから」


きっとバカにされる。こんな勉強出来ないのかとか言われるんだ。


「へぇーよく出来てるじゃん」


「え?」


予想とは正反対の言葉に耳疑った私は間抜けな返しをしてしまった。


樋口くんは私の隣に座って答案用紙を真剣に眺めると、こちらを向いてペンを取った。


「ここ、途中まで出来てる。次の問題はケアレスミス。水瀬さんの弱点はこういう細かいところの確認と半端に理解しているとこ。これさえ直せば高得点を取れるようになるよ」