【短】夕陽の記憶

樋口くんを探しに出た私はまず、教室と向かった。


学校ではあまり過ごしていない私たち。小野寺くんのこともあって、学校では会話を制限していた。


これは樋口くん本人からの希望でもあった。きっと私を他の女子から守るための行動だったんだ。


ファンの子のなかにはあまり好ましくない行動をする子もいるって華ちゃんから聞いたことがある。


小野寺くんも昔、同じような被害に遭いかけたらしい。


教室で白い目で見られながら樋口くんがいるか尋ねたが、今はいないと言われた。その後も図書館や職員室と色々回ったが樋口くんの姿はなかった。


早退はしていないみたいだけど…。


これだけ探しても見つからない。このまま会えないのではないかと不安が膨れ上がってきたその時、女子大勢集まっているのを見つけた。


もしやと思い、近くにいくとその大勢の中に樋口くんの姿があった。


やっと見つけたと安心して話しかけようと試みたが、私が入れる隙間はない。すると、樋口くんが誰かと会話しているのが聞こえてきた。


「今年のバレンタインさ、樋口くんにあげたいから予定、空けといてね」


その子の他にも渡したい人がいて、私も私もと次々と予約をしていた。


やっぱりモテるな。しかもバレンタインに憧れの人にチョコをあげるのは誰もがしたいこと。気持ちはよく分かる。