【短】夕陽の記憶

ーー私は先日のことを華ちゃんに全て話した。途中、小野寺くんが合流し、3人で話をすることになった。


「そういう事ね。これで樋口の様子が変な原因が分かった」

「え?樋口くんに何かあったの?」

「あったというか、最近ずっと授業中にぼーっとしていたり、壁によくぶつかっている。あとは…そうだな、作り笑顔に磨きがかかっていた」


作り笑顔?樋口くんが?


「それってどういうこと?作り笑顔って」

2人は顔を合わせてハッとした。状況が読めない私はひたすら首を傾げていると、華ちゃんは詳しく教えてくれた。


「胡桃は知らなかったと思うんだけど、樋口くんって実はコミュ障で人付き合いが苦手なの」

「えっ!?でも、そんな素振り、私一度も見たこと…」

「だろうな」


言葉の間に入ってきた小野寺くんはさらに詳しく説明をしてくれた。


「樋口は本当に心を許した人間にしか、内側の部分を見せるんだ。普段は仮面を被ったピエロの状態で内心では人、と言うより“女”が苦手なんだ」

「女の子が?」

「昔のトラウマだと言っていた。詳しいことは話してくれなかった」


トラウマになるほど辛い経験をしていたのに、どうして私に勉強を教えてくれたんだろう。嫌なら近寄ることもなかっただろうし、それに、あの笑顔は作られたものだったのか。


ほんとうの樋口くんはどれなのか。疑問がどんどん積み重なっていく。